【台北】圓山水神社 その2:台湾人によって今も守り継がれている神社




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*神社ならではの神聖な空気が漂う山の中


圓山水神社は台湾に残されている神社の中でも、社号標、灯籠、手水舎、狛犬、社などの神社を構成する配置がはっきりと残っている貴重な神社跡ではないかと思います。

神社の由来については「その1」に書きましたが、当時の水道局が管理する私設神社だったようです。竣工当時の新聞記事をWEBで確認したところ、祭神は水波能売神、栄井神、生井神とありました。

これらの神様は、日本の水に関する神社でも祀られている神様です。

休憩所の張り紙によると1990年に修復されたようですが、修復といっても社が復元された訳ではなく、石材などでできた社号標や灯籠などが元の位置に戻されたということでしょう。



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▲階段下から祠を望む


ここ圓山水神社は社号標が残っていてうれしいのですが、これほど綺麗な形で残っていることが逆に気になったりします・・・(社号標の写真は圓山水神社 その1参照)。

1972年以降、本格的に日本を象徴する建造物が破壊されていった中、多くの神社は、灯籠など石材でできたものは割られたり、文字がかき消されたりしていることが多いからです。

鳥居や社号標など、日本の神社だとはっきりわかるものはまず標的にされたでしょうから、もしかしたら圓山水神社の社号標は地中かどこかに隠されていたのではないかと考えてしまいます。

実際にそのような処置がされた神社もあるようですので。

都会でありながら静かな山の中にあったことで、難を逃れたのでしょうか。

とにかく、ここを修復して今も守り継いでいる台湾の方々に深く感謝したいという思いが湧いてくる場所でした。


ここは日本の神社などで感じることがある、神社特有の空気感というか、気?

この場所はそんなものを感じられると思います。


▲灯籠の土台に彫られている当時の日本人名

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▲苔に覆われた洗い場。建物の基礎らしいものがあるので、何かしら建築物があったと思われます

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▲6月の新緑の季節だったためか、緑が鮮やかで木漏れ日が綺麗でした


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▲御神木とも思える大きな木には蔦が絡まり神々しく見えます。参道の飛び石は苔に覆われ、長い年月を感じます



*まるで古代遺跡のような日本文明の残骸


さて、神社の周りにはサッカーコートほどの広さの貯水池の跡が今も残り、建物の基礎や、古びたコンクリート製の塔が点在しています。
このあたり一帯はたまにしか手入れがされていないようで、この時は草木が生い茂り、建物などが蔦や草に覆われていました。

苔むした場所も多く、まるで古代の遺跡のようです。
目を惹いたのは、貯水池から神社に向かうまでの足元に並ぶ飛び石です。

まさに「苔のむすまで」。日本の国歌『君が代』の歌詞が頭に浮かび、長い時間ここでじっとしていたのだなあと思うと、胸の奥がジーンとしました。


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▲圓山水神社の御神体ともいえる、地下貯水槽の跡。
 地面に刺さった空調のための錆びた通気筒に、哀愁めいたものを感じます。まるでロボット兵の顔・・・



貯水池跡は地下に貯水槽がある構造ですが、現在はこの貯水槽は使われていないようです。その貯水槽を換気するための通気筒が、赤い錆をまとって地面に突き刺さっていました。
それはまるでアニメ映画「天空の城ラピュタ」に出てくるロボット兵を連想させます。圧倒的な科学力で天から地上を支配していたというラピュタ。やがて人が去り、残されたロボット兵はずっとその場所を管理していました。

日本人はいなくなったのに、日本式の小さな祠が置かれ、注連縄などで飾られ、お供えもされ、今も誰かに管理されています。

ロボット兵がラピュタを守っていたように、ここは今も台湾の人によって大事に守られているのでしょう。

ちょっとセンチメンタルっぽくなってしまう場所ですね。

ここを訪れた日は天気がよく、青空がとても綺麗で風の音しか聞こえてこないせいなのか、いっそう「天空の城」のように感じてしまいました。


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▲盗難に遭い、失われた阿形の狛犬。犬の習性として、必ず元に居た場所に帰ってくるはずです



*上記は、一昨年の2015822日にWEBサイト「世界ガイド」に投稿した「圓山水神社(2)」の記事をリライトしました(狛犬等神社跡の様子は2015年当時の内容です)。



日本の終戦の日を意識したかのように、今年の815日に報じられた落書きと狛犬の盗難事件の続報は、あれから聞こえてきません。

この現状を台湾まで確認しに行った方からの情報提供により、現在落書きされた祠の柱は綺麗に塗り直されたということがわかりました。しかし、向かって右側の盗まれた狛犬はなく、むなしくも台座だけが残っています。

一刻も早く狛犬が見つかり、元の場所に帰ってくることを願います。





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